Sodick
Sodickはみなさんがご存知の通り1976年(昭和51年)創業の工作機械メーカーです。
NC放電加工機、射出成形機、食品機械など幅広い分野の生産財を開発・製造・販売していますが、金属3Dプリンター業界パイオニアのOPMラボラトリーを傘下に収め、2014年に金属3Dプリンタービジネスへ参入を発表しました。
Sodickは2014年に「OPM 250L」、2016年に「OPM 350L」、2018年に「LPM325」をリリースしてきましたが、2021年また新たな金属3Dプリンター「LPM325S」を発表しました。
新聞記事を読んだのですが、発表直後すぐにSodickの営業の方との面談があり、早速見学させていただく事になりましたので、その新金属3Dプリンターについてお話をさせて頂きます。
OPMシリーズ
まず、Sodickが2014年、2016年に発表してきたOPMシリーズのお話を先にしなければなりません。
OPMシリーズというのは「ワンプロセスミーリング」という技術を前面に押した金属3Dプリンターになります。
ワンプロセスミーリングというのは、金属を焼結を何層かした後に回転工具でミーリング仕上げ加工まで連続して行える技術の事を指していて、放電加工の必要だった深堀の金型などでは大きな効果をもたらします。
しかし、このプロセスがデメリットも抱えていたのは事実です。
そのデメリットとは酸素濃度にあります。
ガス置換に時間がかかることも当然ですが、ガスのランニングコストも多く、また酸素濃度も若干高いというところです。
私たちのようにチタンやアルミなどを造形する場合、酸素濃度が高いのは致命的であり、私たちもこの機種については残念ながら検討することが出来ませんでした。
またミーリングのメリットもあまり感じていなかったのも事実です。
LPM325S
今回新聞発表された新金属3Dプリンターは「LPM325S」ですが、実は・・・・Sodickさんには申し訳ありませんが2018年にリリースされた「LPM325」については全く知りませんでした。
今回のニュースによりプラスで知ったというのが正直なお話です。
今回のニュースでは
”多様化する金属3Dプリンタの要求に対応するため、長時間高速安定造形に対応した新製品"金属3Dプリンタ"「LPM325S」を開発し、2021年10月より受注を開始いたします。
LPM325Sは、金属粉末の溶融凝固による3D造形と、造形物への基準面加工を1台の機械で行う金属3Dプリンタで、「粉末交換作業やメンテナンスなどによる"非稼働"時間を大幅に削減し、現場の生産性の鍵となる"稼働率"アップに貢献する」ことをコンセプトに開発いたしました。” (日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP618016_W1A910C2000000/)
とありました。
丁度私たちが今あるプロジェクトを進めておりまして、そのプロジェクトの為の情報収集をしている中Sodickの営業の方が弊社にお越しになることになり、新開発された金属3Dプリンターについてお話を聞きました。
正直にお話しますと”話半分”ってところでした。
百聞は一見に如かず・・・まずは見たいと思い、早速石川県の加賀事業所まで見学にいかせて頂いたというのが本当のところです。
工場に入り、すぐに設備を拝見させていただいた感想としてはまず、設備は非常にコンパクトにまとまっています。弊社で使用するEOSと比べるとその専有面積は非常に少ないです。
次に造形品のサンプルを見させて頂きましたが、非常に綺麗に出来上がっています。レーザーのパラメーターをかなり勉強し調整したのだと感じます。
そして造形中を見させていただきました。
私たちも常日頃から造形をしておりますので、火花というかヒュームの飛び方と言いますか。。それ見るとそれがどうであるのかわかります。
非常に綺麗な火花がみえ、調整が行き届いているのがハッキリわかります。
切削加工で言うところの音とか振動の部分ですね。
ひょっとしたら弊社で使用しているEOSよりも良い火花が出ているのかもしれません。それが造形の面粗度に現れています。
2014年頃に見たOPMシリーズのそれとは全く違います。
そして今回は切削がありませんのでガスの置換時間もかなり早くなっていました。ひとつ懸念事項をあげるとすれば掃除のやりにくさだけですね。
プロジェクトに向けて大きな収穫でもありましたし、興味も非常にわきました。
日本の金属3Dプリンターは10歩くらい遅れていましたが、この数年でここまで肉薄するものなのですね。
Sodickの社是である「創造、実行、苦労・克服」を実践したからこそこの結果になったのでしょうね。
密度や強度といった部分は今回の見学ではわかりませんでしたが、これから試験などして評価したいと思います。
まとめ
今までEOSという金属3Dプリンターの大横綱がいました。ブランディングにも成功し瞬く間に世界のEOSになったと聞いています。もちろん性能も良くNo1の金属3Dプリンターだと思いますが、いつまでもEOSに乗っかっていてもダメだと数年前から感じ始めていました。そんなときにあるプロジェクトが進行し始め、日本の金属3Dプリンターをもっと活性化させたいと思いました。
それが実現可能であると確信した今回の見学でもありました。
私たちの考え方では金属3Dプリンターも工作機械の部類で、そのサービス体制や交換部品の対応は工作機械の考え方に準じています。
しかし残念ながらそうではない考え方を持つ金属3Dプリンターメーカーがあり、パソコンと同じようにサービスを打ち切られたり、交換部品がなくなったりと不便を感じることがあります。
そういうことも含めてプロジェクトで考えていきます。
メカトロテック ジャパン2021
2020年は開催できませんでしたが、メカトロテックジャパン2021が開催されます。
今回書きましたSodickのブースに「LPM325S」が置かれることと思います。
是非足を運んでいただければ今回の内容がわかるかと思います。
会期は2021年10月20日(水)~10月23日(土)の4日間で、ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場) 1号館・2号館・3号館で展示があります。
Sodickは3号館にありますので是非金属3Dプリンターを見てください!
Sodick https://www.sodick.co.jp/