はじめに

金属3Dプリンターは多くの場合ファイバーレーザーを採用しておりますが再現性についてはネットを探しても出てきません。それはなぜか???
比較するものがなかったからです。
弊社がお話するセミナーでも多くの金属3Dプリンターの特徴をお話しさせて頂いておりますが、再現性についてのお話をしているのは唯一「3D Systems Pro X シリーズ」の設備だけです。
それ以外の設備については一切再現性について触れておりません。
それは情報量が少なかったこともあります。
最近になって更なる情報が耳に入ってくるようになり、皆様により多くの情報を配信できるようになりましたので本日は「再現性」についてお話したいと思います。
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金属3Dプリンターの再現性
弊社で製作する金属3Dプリンター造形品は写真でご覧になっているとおり、決して表面が奇麗なものではありません。
なのに「3D Systems Pro X シリーズ」の造形品質奇麗だと話しています。
それには理由があるのです。
造形物の品質はレーザーのスポット径、そして金属粉末の大きさ、そして積層厚みでも大きく変わってきます。
レーザーのスポット径からお話をしますと、例えば0.1mmのスポット径と1mmのスポット径があったとします。
可能な最小肉厚はスポット径に依存しますので0.1mmのスポット径ならば0.1mm~0.2mm.。1mmのスポット径ならば1mm±0.3程度になります。
0.1mmの肉厚部分に1mmを照射したら1mmで出来上がってしまいます。ですから当然再現性はなくなります。
次に金属粉末の大きさについてです。
金属粉末の大きさが0.1mmだとして、その粉末に0.1mmのレーザースポット径で照射してみましょう。
肉厚は0.1mmになりますか??
実際は残念ながらなりません。 もちろんなる部分もあるでしょう。しかし、金属粉末は規則正しくまっすぐに並んでいるわけではありませんので、0.1mmが二つ並んでいるところにレーザーが当たることの方がほとんどです。
すると金属粒子2粒が結合してしまいますので実際は0.1mm~0.2mmとばらつきが多くなります。これでは再現性はよろしくないですよね??
次に積層厚みです。
積層厚みとは一層あたりの厚みになるわけですが、球の3Dモデルを1mmで区切ったスライスデーターと0.1mmに区切ったものがあるとします。
1mmの方は円の滑らかさは無く、モザイク模様のようなガタガタの球が出来上がることでしょう。逆に0.1mmの場合は滑らかな円形状に見えることでしょう。
スライスデーターとはいわゆる解像度に近い要素があるので、細かければ細かいほど再現性が向上します。
これら上記三つを限りなく近い状態で満たしているのが「3D Systems Pro Xシリーズ」なのです。
再現性の理想を言えば、細かい金属粒子に、小さなスポット径で照射し、細かな積層厚みで造形することです。
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相反するもの

理想を追求すれば再現性は向上していきます。
しかし、相反して造形速度がどんどん長くなってしまいます。
5cm四方の面積を太いマジックで塗りつぶすのと、細いマジックで塗りつぶすことを想像していただければその差は歴然です。
また、細かな積層厚みにする際はレーザーの出力を落とすことも考えておかなければなりません。
出力と金属を溶かす関係にはエネルギー(ジュール)が存在します。エネルギーが落ちれば速度も落とさなければなりません。
また積層回数が増えれば金属粉末を敷き詰める工程の回数が増え、造形以外の時間が増えてきます。
同じ面積を塗りつぶす回数も当然増えますね。
また、金属粉末が細かくなれば爆発の危険性も高くなるとともに、人体への影響も強くなります。
再現性を追い求めすぎるとスピードが落ちてしまい、生産効率を落とすことになることは頭に入れておく必要があります。
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まとめ
再現性と造形スピードは相反するところにあります。
再現性を求めていけばスピードは落ち、スピードを重視すれば再現性は落ちるのです。
どの地点が御社にとってメリットがあるのかを考える必要がありますし、お客様にも知っていただきたい項目になります。
突き詰めていけば着地点は必ず見つかります。
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