はじめに

現在日本で販売されている金属3Dプリンターは様々ありますが、まず初めに何がやりたいか?というコンセプトを明確にする必要があります。
それによってある程度の金属3Dプリンターの種類やメーカー絞られてきます。
金属3Dプリンターの選び方
絞り込みが出来たら次に決めるポイントが必要になってきます。もちろん価格や納期も重要な要因であるとは思いますが、そこはあまり考えずに本当に必要な項目をチェックする必要があります。
どこをチェックすべきかを解説いたします。
造形スピード

一番大事なのにここをチェックしていない企業様が非常に多いことに驚いています。
確かに見ただけではスピードは判断しにくいですが、選定基準からすっぽり抜け落ちているのはよくありません。造形スピードは完成時間(コスト)に直接影響しますのでぜひチェックしたいただきたい項目です。
チェック方法
1.10mm×10mm×10mmの立方体の
STLデーターを用意します。
2.選抜したメーカーに同じ材質で造形依頼を出します。(有償の場合もある)
3.造形品の造形時間を記録する。
非常に単純なテストすぎて・・・と笑ってしまいそうですが、場合によっては倍以上の時間がかかる金属3Dプリンターもあります。 生産性から考えても造形速度は早い方が良いと考えます。
積層厚みによっても造形時間は大きく異なりますのでしっかりチェックしていきましょう!
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ガス置換速度

うっかり見落としがちな項目ですがかなり重要な部分です。
金属3Dプリンターの造形チャンバー内は酸素を抜いて窒素ガスやアルゴンガスに置換します。(真空の場合もあり)
置換するその時間も金属3Dプリンターメーカーによって全く違いますので是非チェックしていただきたい項目です。また同時に酸素濃度のチェックもすると良いと思います。
ガス置換の時間は早い金属3Dプリンターで15分、遅いもので1時間以上かかります。
ガス置換する時間が長いという事はチャンバーが大きいか、密閉性が低いか、漏れているかしかありません。
なぜこんなにガス置換時間にこだわるかと申しますと、万が一トラブルで3Dプリンターが停まったとすると、停まった原因を除去するためにチャンバーを開ける必要があります。
チャンバーが開けば当然ですが内には酸素が流入しますので、再スタートをする際にまた同じようにガス置換の時間を要します。ガス置換が遅い金属3Dプリンターは無駄な時間に更に無駄を重ねるようなものです。
また、酸素濃度もできるだけ低い金属3Dプリンターを選定したほうが品質の良い造形物を作ることができますので注意したい。
最新の設備ではチャンバーを開けなくともチョコ停の修正ができるものもあります。そういった細かな仕様についてもチェックしておくと良いと思います。
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リコーティング速度

金属3Dプリンターの金属粉末積層造形法では必ず金属の粉末を敷き詰める動作が入ります。これをリコーティングと呼んでいます。
1層ごとにリコーティング動作は入りますのでこの時間は非常に大きく積み重なってくる時間です。メーカーによってこの時間も大きく変わります。
また、一方通行の敷き詰め方や、両サイドからの敷き詰め方法もあります。リコーティングは短いにこしたことはありません。
造形時間全体に影響がありますので必ずチェックをしてみて下さい。
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金属密度

これも残念ながら肉眼で見えるものではありません。
顕微鏡等で見る必要が出てきますのでサンプル品を細かく刻んでみてもらう事をお勧め致します。公設試さんなどでも十分だと思います。
金属3Dプリンターによって、また使用金属粉末によって、材質によって密度もまちまちです。見た目だけでは判断できませんので必ず見る必要があります。
必ず自社で使用する金属粉末を使ってテストをしてください。
メーカーによって使用する金属粉末が指定されている場合もあります。事前に確認しておくことを推奨いたします。
密度が出ていなければ強度にも品質にも影響が出ますので、当然ですが密度が高い金属3Dプリンターを選んだほうが良いです。
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アスペクト比

恐らくアスペクト比を考えて金属3Dプリンターを選んだ企業様は少ないかと思います。
アスペクト比とは長辺と短辺の比率の事を言いますが、金属3Dプリンターによって積み上げられる高さが違います。
アスペクト比が低い金属3Dプリンターを選定してしまうと背の高い造形品が出来ない場合もありますので、コンセプトが決まったら確認したいところです。
背の低いものだけを造形するなら無視していただいても問題ない項目です。
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パラメーター

金属3Dプリンターではレーザーを照射するパラメーターというものが存在します。
パラメーターを触れる金属3Dプリンターとほとんど触れない金属3Dプリンターもありますし、ある程度デフォルト的に作成してある場合と、そうでないものがあります。
パラメーターは金属の密度、造形の速度、表面品質などに大きく影響する項目になります。
またパラーメーターを購入するオプションなどもある場合がありますので、費用対効果を考え決定したい項目です。
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販売店のノウハウ

初めて金属3Dプリンターを触ると、わからない現象ばかりが発生します。小さなことも含めてです。
それら一つ一つの事象に対し明確な答えが出てこなければ解決することはありませんので、その間造形することができません。
回答に1週間かかったという事例もあったりします。
販売店でも同じ設備を持っていて現象に詳しいオペレーターがいれば話が共有できますが、販売のみの場合本国、またはメーカーに問い合わせをしたりすることもあるのでロスになります。
基本的な事象は全部わかっていて、電気回路から構造まで網羅されていると使う側としては安心です。
Q:こんな現象が起きているんだけど・・・
A:そのような現象は初めてなのでわかりません・・
できればこんなやり取りはしたくないですね。
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サービス体制

メンテナンスを含めたサービス体制は非常に重要です。
前項と重なる部分もありますが、修理に時間がかかるようでは不安です。
また、材料、部品の手配や納期についても重要になってきます。
特に海外の金属3Dプリンターを購入される場合は、保守点検の人数、材料の在庫、交換部品の在庫などは販売店に確認しておいてほうが良いでしょう。
サービスマンの常駐位置なども知りたいところです。出張旅費や時間に係るところですので確認しましょう!
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まとめ

金属3Dプリンターの導入を検討されている企業様が増えてきました。
金属3Dプリンターを選ぶにはやりたいことを明確にし、そのうえで詳細も確認する必要があります。
買えばすぐ簡単に造形できる設備ではありませんので、より慎重に選定すると良いでしょう。
金属3Dプリンターは革新的な製品を生み出すことができます。だからこそコンセプトをしっかり持ちたいものです。
金属3Dプリンターの選び方
金属3Dプリンターのランニングコスト
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