水素脆化とは

水素脆化とは、鋼材中に吸収された水素により鋼材の強度(延性又は靭性)が低下する現象の事を指しています。
水素脆化は拡散性水素の局在化に関連した現象であるため、水素量のほかに、拡散に関するパラメータである時間・温度のほか、応力状態・ひずみ・そもそもの材料強度にも依存します。
金属3Dプリンターの場合表面積の増えた金属粉末に水分が付着し、そこにレーザーを当てることにより水素が発生し水素脆化が起こると思われます。
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こんな現象が

金属3Dプリンターに限った話ではないですが、設備を使っていれば様々なトラブルがあるものです。
弊社でも金属3Dプリンター造形品にクラックが入る・・というトラブルが発生しました。
なぜ突然こんなことが起きてしまったか?
その原因が「水素脆化」というものでした。
水素脆化というのは、鋼材中に吸収された水素により鋼材の強度が低下する現象の事らしいです。水素ぜい性破壊は、結晶粒界、引張り応力のかかる箇所、応力の集中する部分で起こりやすい。古くから認識されてきた問題だということですが、私たちも全く認識していませんでした。
もちろん弊社では恒温室にて金属3Dプリンターを稼働し、金属粉末材料も恒温室の中で保管をしておりますが一点だけ恒温室外に保管していたものがありました。
それがベースプレートというものです。
金属3Dプリンターはベースプレートといわれる鉄の板の上にレーザーで溶融した金属を積層し造形物を作っていきます。
このベースプレートは消耗品で造形後はフライス加工し平面を出して再利用するのですが、そのベースプレートは恒温室外に保管しておりました。
それによりベースプレートに水分が付着し熱により分解され水素が発生しクラックの原因になったという訳です。
金属粉末材料にはかなり気を使っておりましたがベースプレートまでしっかり気を使っていなかったことが原因ですが、つくづく金属3Dプリンターは繊細なのだと実感するトラブルでした。
当然ですが、外で保管していたベースプレートは全てオーブンで温め水分を飛ばし恒温室での保管をすることになりました。
恒温室以外で金属3Dプリンターを使用したり、金属粉末材料やベースプレートを保管することはトラブルの原因となりますのでご注意下さい。
ましてや設備を恒温室外に置くということは・・・非常にまずいです。