はじめに
金属3Dプリンターではアルミニウムも造形できます。
しかし、どんなアルミニウムでも造形できる訳ではありません。
金属3Dプリンターで造形できるアルミニウムは材質が限られています。
アルミニウムが金属3Dプリンターで造形出来るようになった今、さまざまな事にチャレンジできるようになりました。
軽量化や試作開発、トポロジー設計などです。
今まで出来なかった事が実現できる喜びがこの金属3Dプリンターにはあります。
それだけではありません。金型製作からの工期と比較すると納期も圧倒的に早い。
これがアルミニウム金属3Dプリンターの一番のメリットになります。
自動車、航空機、宇宙開発、ロボット、医療など様々な分野での活躍が期待されまています。
アルミニウム金属3Dプリンター造形方法は2種類あります
金属3Dプリンターを使用してアルミニウムを造形するには実は2種類の工法??があります。
実際には工法というより、造形時のベースプレートの温度設定になります。
このベースプレートの温度設定が異なることによって機械的物性値も変化してしまいます。
もちろん原材料(金属粉末材料)は同じものを使いますのでアルミニウムの金属成分は変わりません。
しかし、ベースプレートの温度が変わることによって大きく変わるのは強度と精度。
それだけアルミニウム造形は繊細なのです。
形状やサイズによって、この温度を使い分ける必要があり、それがまさしくノウハウということになります。
この設定が2種類あり、一つは35℃、もう一つは200℃による造形になります。
弊社では主にM290(EOS)という機種でアルミニウムを造形します。
理由の一つにM290は金属粉末を最大に入れておける量が造形高さの制限があります。
製品形状にもよりますが、高さが高い造形品の場合は、粉末が足りなくなり、途中で継ぎ足しをしなければならなくなるのですが、200℃の条件でその行為をしてしまうと、チャンバー内の温度が急激に低下してしまい、製品は造形途中で収縮し、再スタートした箇所に段差となって現れてしまいます。
造形品の品質上、段差の発生はNGですので、この場合は35℃の雰囲気で造形をします。
ひっぱり強度は35℃造形で430Mpaになります。
しかし、35℃造形の問題点もあります。
アルミニウムというのは熱伝導率が高い素材ですのでレーザーで溶かしてから冷えるまでの時間が非常に短いのですが、その短さゆえに応力が残留しやすくなります。
応力が残留し過ぎると造形中の歪、変形、割れにつながる可能性が高くなります。
35℃造形には割れのリスクと変形、歪みのリスクが常に付きまとっていると考える方が良いでしょう。
一方で200℃造形の場合では、ベースプレートを200℃まで加熱した状態で造形をします。
アルミニウムが冷えて固まる速度を抑制することにより応力の残留を抑制できます。
割れ防止につながり、変形、歪みも抑えられるという事です。
基本的に200℃造形の方が形状、応力が安定するので、200℃造形を使用します。
しかし、強度が35℃造形よりも劣り、引張強度は360Mpaになります。
アルミニウム造形の難しいところ
アルミニウム造形が難しいところがあります。
それがアルミニウム粉末を敷き詰める工程にあるとは私たちも予想できませんでした。
金属3Dプリンターでは細かな金属粉末にレーザーを照射し溶融しながら積層していくのですが、照射された直後は大変高温になり部分的に膨張が生じます。
その膨張が生じたまま次の層の金属粉末を敷き詰める場合も少なくありません。
その際、他の材料の場合は硬度が高いのでリコーティング時に停止してしまうのですが、アルミニウムの場合は素材硬度が高くない為、膨張部を削り取りながら粉末を敷き詰めてしまう場合があります。
これを続ける事によりある部分だけ金属密度が低下してしまう場合があるのです。
ここで重要になるのが造形の姿勢です。
どのような造形姿勢にするかによってこの膨張を回避する事が出来ます。
これらは何回も失敗を重ねて得るノウハウになる為、様々な形状の造形物にチャレンジしてみなければなりません。
またアルミニウム粉末はレーザーを反射しやすく、反射エネルギーの吸収率が悪いという特徴も持っています。
レーザー出力を上げて高速で造形することが望ましいのですが、冷却時間とのバランスが悪ければ応力が大きく残留してしまいます。
また溶融密度のバランスで溶融不良になったり、ガスの巻き込みがあったりしますので注意深くパラメーターを合わせこむ必要があります。
知られていない金属3Dプリンターの危険性
粉塵爆発という言葉を聞いたことあるかと思います。
粉塵爆発とは、ある一定の濃度の可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象です。
微細な粉塵は体積に対する表面積の占める割合が大きいので、周囲の空気中に十分な酸素が存在することで、燃焼反応に敏感な状態になり、火気があれば爆発的に燃焼します。
金属3Dプリンターで使用する金属粉末は20μm~70μmほどの微細な金属粉末になりますので、乱暴な扱いにをすれば簡単に空気中に金属粉末が舞ってしまいます。
まさに粉塵爆発を起こす環境を作ってしまうのです。
金属3Dプリンターで使用する金属粉末は湿度も大きく影響します。
表面積を増した微細な金属粉末は湿度が高い環境では流動性が悪くなり、造形工程で粉末を均一に敷き詰めることが出来なくなるからです。
つまり、造形室の環境は徹底した湿度、温度管理が必要とされます。
静電気の危険性
話は変わりますが、自動車に乗る前に手にバチッと音がして痛くなることありますよね??
火花のようなものが見えるときもあります。
皆様がご存知の静電気です。
静電気は乾燥した冬場や低湿度条件で発生しやすいことは皆様もご存じかと思います。
先ほどもお話ししたように、造形室は徹底した湿度、温度管理を行っています。
つまり、乾燥状態なのです。
乾燥状態の造形室で、作業をすれば作業服が擦れ摩擦帯電によって静電気が生じます。
乾燥した造形室での作業は粉塵爆発を起こす環境を整えてしまっているのです。
だからこそ、金属3Dプリンター導入時には安全教育というものを受けます。
どんなことをしたら危ないのか??
どんな作業手順やルールがあるのか??
などを学びます。
金属3Dプリンターの前には静電防止ゴムマットが敷いてあります。
造形完了後はこの静電防止ゴムマットの上で、手首にアース線を取り付け作業を行わなければなりません。(静電気防止の為)
万が一静電防止ゴムマットの上で作業しなかったら場合
手首にアース線をつけ忘れた場合
粉塵爆発を起こしやすい環境をますます整えてしまったことになります。
そのような危険環境から少しでも従業員を守るために、静電気の発生を抑制する素材の作業衣を着用したり、静電気のたまりにくい導電性の有る材質で作られた安全靴を履くことを徹底します。
また、水と激しく反応する金属の中にアルミニウムが含まれています。
アルミニウムで発火の際に水をかけてしまうと水素を発生して爆発することがあるため,大変危険です。
ですから金属火災用の粉末消火剤を用意したり,乾燥砂などを工場内に設置します。
まずは安全教育を徹底すること。
そしてルールを守ること。
万が一の訓練をすること。
金属3Dプリンターでアルミニウムを造形するメリット
アルミニウムを金属3Dプリンターで造形するメリットって何ですか??
導入前には弊社でもこれが一番疑問でした。
皆様がご存知の通り、アルミニウムは加工性も良く、工作機械でも効率良く切削をする事が出来ます。
それを敢えて金属3Dプリンターにするメリットって何かあるのか???
マーケットはあるのか???
と思っていて二の足を踏んでいました。
先の項目でもお話ししたように金属3Dプリンターで造形できるアルミニウムは「AlSi10Mg」という鋳造アルミになります。
そこが機械加工と大きく違う部分であり、鋳造にポイントを置いているという事になります。
これはアルミニウムに限った話ではありませんが、現在機械加工で安く加工できている物を金属3Dプリンターを使えば安くできる・・ということはありません。
しかし・・鋳造はどうでしょうか?
鋳造では1個作る場合でも「金型」が必要になります。
金型を製作するにはもちろん「コスト」がかかります。
そのコストと時間を比較してしまうと金属3Dプリンターで製作する方が高メリットな事があるのです。
機械加工では製作出来ない・・
金型を必要とする形状・・
つまりは「鋳造品」の少量生産では多いに活躍する場があると言う事です。
金型レスで鋳造品を製作できる事。
これが金属3Dプリンターで造形できるアルミニウムが「AlSi10Mg」である要因の1つであり、メリットであるという事になります。
でもお客様の本音としては多くの部品で流通しているADC12や5000番台、7000番台のアルミニウムで造形できることを望まれています。
今後は望まれる材質での造形ができるようにしなければならないですね。
AlSi10Mgに適した部品
一般的にJIS規格のAC4AからAC4Cと表記されるアルミニウムで使用している部品にはこのアルミニウムで十分な性能を出す事が可能です。
・マニホールド
・ブレーキドラム
・ギヤボックス
・ミッションケース
・フライホイール
・シリンダヘッド
・バルブボディー
・クランクケース
・クラッチハウジングハウジング
・航空機部品
・小型用エンジン部品
・電装品
上記のような部品で多くの使用事例があります。
基本的には靭性が必要なアルミニウムとして使用したい箇所で使用可能です。
また熱処理(応力除去)を施す事もご対応可能です
株式会社J・3Dのサービス提供地域は以下のとおりです。
事業内容に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
- 北海道地方:北海道
- 東北地方:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
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