金属3Dプリンターとは
金属3Dプリンター(金属粉末積層法)とは、金属の粉末にレーザー、ビームなどを照射し、溶融、凝固させて積み上げていく金属加工方法をいいます。
本当は金属粉末積層造形機と言いますが、一般的には金属3Dプリンターと表現します。
1層の積層厚みは0.03~0.05mm。
新たな加工方法として注目されています。
材質はマルエージング鋼、純チタン、インコネル、アルミニウム、ステンレスなどがあります。
・EOS MS1(マルエージング鋼) 積層厚み:50μm
・大同特殊鋼 HTC45(SKD61相当) 積層厚み:50μm
・EOS IN718 Nickel Alloy (インコネル718相当) 積層厚み:40μm
・EOS TiCP(純チタン) 積層厚み:30μm
・EOS Alsi10mg(アルミニウム合金) 積層厚み:30μm
・EOS SUS316L(ステンレス合金) 積層厚み:20μm
金属3Dプリンターがあれば誰でも簡単に何でも作れると思われがちですが、対応可能サイズや
形状には制限があり、万能ではありません。
形状再現のルールや装置サイズの一定の制約があり、それに当てはまらなければ造形不可となる場合がございます。
また金属3Dプリンターでの大量生産は不向きな事が多いため、どちらかというと多品種少量、一品一様生産に用いられ、試作部品の開発や小ロット生産に向いています。
一方で金型分野では自由度が高い三次元冷却水管を配置した金型部品への応用では、量産品の成形サイクルタイムの向上や品質向上のための新たな工法として取り入れている企業の生産効率を格段に高めています。
【自在に配置できる金型冷却のための三次元冷却水管】(ハイブリッド構造)
金属3Dプリンターの呼称について
積層造形は一般的には「3Dプリンター」と呼ばれることが多いですが、工業や産業においては、以下のような呼ばれ方をすることが多いです。
工業・産業の分野での呼び方
「RP(ラピッド・プロトタイピング)」2000年~2010年ごろまでの呼称
Rapid(素早い、迅速)、Prototyping(製品にする、形状にする)
「AM(アディティブ・マニュファクチャリング)」2013年ごろからの呼称
Additive(累積、加算、添加)、Manufacturing(製作、製造、生産)
金属3Dプリンター
この呼称は正しくないですが一般的に言われている呼称
金属3Dプリンターの仕組みについて
製品の三次元CADデータをスライスし、薄板を重ね合わせたようなものを製造の元データとして作成し(スライスデータ)、それに金属や樹脂、砂などの粉末材料を焼結、積層して試作品を造形します。
複雑なデザインや従来の工法では製作できない構造の試作品の製造も可能であることが特徴です。
金属3Dプリンターイメージ
1. 「何でも作れる魔法の機械」という認識
ボタンを押せば、完成品がそのまま出てくる
家具・家電・日用品・部品まで材料を選ばず作れる
設計や調整は不要、データを入れるだけ
2. 未来的・先端技術の象徴
宇宙開発、医療、AI、ロボットと並ぶ未来技術
「工場がいらなくなる」「職人が不要になる」 SF映画的な近未来装置
「3Dプリンター=未来的で何でも作れそうだが、難しくて自分には関係なさそうな高価な機械」
金属3Dプリンター作業手順
1:装置の造形室内に造形用のベースプレートを設置(ネジ止め)し、その上に1層目の金属粉末を
全体に均一の厚みで敷きます。
1層目の造形データの形状にレーザーが照射され、1層目の形状を溶融、焼結させます。
2:1層目が終わると、ベースプレートは積層厚み分だけ下に下がり、2層目の粉末を1層目と
同じように全体に均一の厚みで敷き、2層目のデータを1層目のデータの上に照射し、溶融
させます。
3:2層目が終わると3層目も同じようにベースプレートが下がり、粉末を全体に均一に敷き、
レーザーを照射し、溶融、焼結をする同じ工程です。
この工程を4層目、5層目も繰り返し、製品が完成するまで繰り返します。
4:造形が最後まで完了すると装置が停止し、部品を取り出すことができます。
レーザーが照射されていない部品の周りの粉末は溶融されていないので、回収機で吸い取り
リサイクル工程に行きます。
部品とベースプレートが溶融した状態で3Dプリンター本体から取り出し、付着している
粉末を除去します。
5:ベースプレートと部品をワイヤーカットで切離し、部品単体になり、完成します。
※サポート除去等が必要な部品はこの後、サポート除去工程に移行します。
サポート材とは
サポートの機能
1. パウダーの上に部品を造形する時に形状を支持する為に必要です。
2.部品の熱変形等を抑制する事ができます。
3. 熱伝導性を向上させます。
4. アンダーカット部が崩れるのを支える為に必要です。
実際にサポートを必要としない形状はほとんどありません
サポート除去除去について
基本的には手作業での除去になります。
工作機械を使用しても除去は可能ですが、クランプできない形状や五軸加工機を駆使しても
工具が入らない微細な箇所に付与されている場合がある為、金属を彫刻するように削り取る
作業です。
金属3Dプリンターでは材質ごとによって積層厚み(ピッチ)が変わってきます。
熱伝導性が材質毎に差異があるからです。
積層厚みが変われば、同じ形状であっても造形時間が変わってしまうのが金属3Dプリンターの特徴でもあります。
セミナー等でも積層厚みについてご質問されることがよくありますが、積層ピッチを変えることでさらに面粗度が改善されたものが出来上がりますか?と言われますが・・・そうではありません
また積層厚みが変われば時間も変わるのでコストも大きく変動します。
部品を後工程で切削加工するのであれば、造形時の面粗度はそれほど重要ではありません。
しかし、積層厚みを変動させて、溶融条件に問題が発生して、空隙が発生してしまったら部品の強度を維持できません。
金属造形では正しい知識と経験があってこそ成り立つもので、今現状の技術で最大限の厚みで良品を造形可能な積層厚みにて造形しています。
積層である以上、積層厚みを変えても構造はかわりませんのでご注意下さい。
現在の金属素材ごとの積層厚みは、下記になります。
・EOS MS1(マルエージング鋼) 積層厚み:50μm
・大同特殊鋼 HTC45(SKD61相当) 積層厚み:50μm
・EOS IN718 Nickel Alloy (インコネル718相当) 積層厚み:40μm
・EOS TiCP(純チタン) 積層厚み:30μm
・EOS Alsi10mg(アルミニウム合金) 積層厚み:30μm
・EOS SUS316L(ステンレス合金) 積層厚み:20μm
基準プレートについて
金属3Dプリンターは基準プレートと呼ばれる金属の板に溶けた金属を溶着させながら積層していく技術になります。
弊社では40mmの厚みの基準プレートを使用していますが、一定以上の熱量が加わり造形品にも熱が蓄積し始めると基準プレートごと歪んで曲がってくる事がわかっています。
熱が蓄積するという事は体積の多いものを造形する際によく起こります。
レーザーでの溶融範囲が広ければ熱が加わる時間が長くなるからです。
それが残留応力となり基準プレートごと歪んでしまうのです。
よって、体積の大きい部品に関しては基準プレートも厚くすることで歪みにくいため、ベースプレートが歪みにくいように厚くする対処をしなければなりません。
歪んでしまった基準プレートを取り外すのも大変な作業です・・・
基準プレートは造形後にはまたフライス加工して再利用するので、40mmで作ったとしても、やがては薄くなってしまいますので、薄くなった基準プレートは熱がたまりにくい造形品を造形する用に管理します。
体積の大きいものを造形する場合、造形範囲に問題がなければ50mmで作成しても問題ありませんので、可能な範囲で作ることで熱歪を抑制します。
造形中に歪みを起こす事が一番困ります。
何故ならば、基準プレートや造形物の歪みにより金属3Dプリンターが停止してしまうし、精度にも懸念発生があるからです。
また、停止してしまうと、扉をあけて部品修正後に再度ガス置換をする必要がありますので、20~30分ほど時間をロスします。
それにより、冷却が進み、更に歪みが大きくなるため、造形停止はなんとしても避けなければなりません。
また、停止せずに造形が終了しても造形完了後に造形品を熱処理炉に入れ、基準プレートごと応力除去をしなければ製品にも基準プレートにも歪みが出てしまうので注意が必要です。
そして、基準プレートの作り置きは錆の原因や水分、油分の付着の原因となりますので大量に在庫しておく事はお勧めできません。
水分が付着すれば水素脆化の要因にもなり、油分が付着すれば溶着不良となります。脱脂工程も造形前には忘れずにしましょう。
造形配置について
【造形配置1の画像】
【造形配置2の画像】
金属粉末材料は約30~50μmずつ積み重ねて行きますが、粉末散布するブレード部品はリコーターと呼ばれ、この部品は非常に繊細なのです。
その繊細さが故に配置で検討しなければいけません。
造形配置1のように並べて造形をした方が多くの数量を同時造形が出来ます。
しかし、この方法だと実は金属3Dプリンターは停止してしまうのです。
先ほどお話したリコーターというのは非常に繊細なのである程度の抵抗を感じると停止してしまうのです。
造形配置1のような配置からすると抵抗が大きすぎて停止してしまう可能性が高くなってしまうのです。
そこである造形配置ルールに従いこれを並べていくと造形配置2のようになります。
造形品の角度が変わりました。
実際には30°ほど傾けて配置をします。これによりリコーターへの抵抗を減らし途中で停止するリスクを減らすというものです。
この30°傾けた事により実は先の造形配置1より4つほど造形品が減っていますので価格的には単価少し高くなります。
金属3Dプリンターにはこのようなルールがいくつも存在しそれらに当てはめて行く事が大事になってきます。
アスペクト比について
アスペクト比という言葉は一般生活の中ではあまり使う言葉ではありませんが、例えばテレビの縦横の比率はアスペクト比と言います。
簡単に言えば縦横の比率のことをアスペクト比と言うのですが、金属3Dプリンター造形に於いてもこのアスペクト比というものが存在します。
弊社保有の金属3Dプリンターに於いてのアスペクト比は1:8です。
装置やメーカーにより、この値は変動します。
底面の長さが8倍までの高さであれば問題なく造形が出来ますが、それを超えると熱歪みにより倒れたり、崩れたりする比率ということです。
垂直に精度よく立ち上げるにはこのアスペクト比が重要と言われます。
しかし、造形ルールに当てはめて製品は作られておりませんので、どれだけこのルールが重要であったとしてもお客様には関係ありません。
重要なのは、『出来るか出来ないか』!
アスペクト比を気にしていたら、恐らく今までよりも更に設計の自由度が無くなってしまいますから。
アスペクト比をオーバーする部品は造形が出来ない訳ではありません。
ある手法を用いればこれらの問題を回避することも可能です。
金属3Dプリンターの造形ルールは意外と細々した箇所にも当てはまってしまいますので、全てのルール通りに造形をしていたら設計の自由度を向上させるどころか逆に自由度をなくしてしまう場合もあります。
弊社では日々の実験やテストを通じて、これらの造形ルールの限界点を広げると共に様々なルールを回避するべく造形条件の開発に注力をしています。
まとめ
金属3Dプリンタ-の基礎知識の一部を紹介させて頂きましたが、これらはほんの一部です。
何ができて何が出来ないか、どうすればできるようになるのか、など詳しく聞きたい企業様は工場見学、またはオンラインセミナーでご対応させていただきます。
あらたな工法として、新たな部品を生み出すには基礎知識をしっかりと身につけることが開発の促進に繋がると思っています。
弊社が保有する金属3Dプリンターの造形ノウハウを活用してしてみませんか。
株式会社J・3Dのサービス提供地域は以下のとおりです。
3Dプリンターに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
- 北海道地方:北海道
- 東北地方:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
- 関東地方:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
- 中部地方:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県
- 近畿地方:三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国地方:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国地方:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州地方:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄地方:沖縄県